黒百合の女帝

 「私は、自分の意思で嶺春に復讐しようって誓ったの。」

強い口調で、僕を咎めるように言うユリちゃん。

彼女の冷たい眼差しが、身体中を粟立たせる。

 「嶺春の反逆者として、何もかも捨てるって、全員を敵に回すって、決意したの。」

その時、凍てつく女帝が彼女に宿っていた。

 「ヤユもそうでしょ?私たちは反逆者なりの覚悟を持つ必要があるの。」

彼女の覚悟が、僕の甘ったるい思考を焼く。

僕は嶺春を捨てた。自らの意思で。

にも拘らず、まだ断ち切れないでいる。

倉庫の暖かさを今だに手放せないでいる。

僕はいつまで甘えるつもりなのか。

そうだよ、ユリちゃんの言う通りなんだよ。


 言う通りな……はずなのに。

心のどこかで、納得できない自分がいた。

彼女の言葉を借りれば、覚悟が足りないのか。

ユリちゃんの言うことも理解できるのに。

頭を抱えつつ、ちらりと彼女を盗み見る。

彼女の様子からして、嫌だとは言えなかった。

モヤモヤが残りつつも、一つ頷いてみせる。

きっと、彼女の言うことは正しいのだろう。

 「わかった……僕も、抗争に参加するよ」

生ぬるい覚悟には、甘ったるい思考の燃えかすが残っていた。