黒百合の女帝

 「やっぱり、タイミングが良すぎる。」

 「それな〜。ユリが嶺姫辞めたって知ってんじゃない?」

 「にしては情報の伝達が速い。内密者が居たにしても不自然。」

そう、問題はそこだ。

事件が起き、ヤナギと出会うまでおよそ十分。

それまでに内密者から情報を入手。

私の居場所を突き止め、喧嘩をセッテイング。

これを十分で、というのは手際が良すぎる。

それを彼も理解したのか、新たな可能性を提示する。

 「う〜ん、ユリを倉庫から追ってきたとか?それかGPS」

 「多分ね。でもその目的は?それはいつからの計画?」

流石に、思いつきの実行ではないだろう。

それではハラの提唱が前提に含まれていない。

ヤナギの目的は嶺春を潰すこと。

だとすれば、元の予定は違ったのかもしれない。

 「元は嶺姫を誘拐する為の監視だったのかも。」

 「あ〜、そゆことね。でも嶺姫が追放されちゃって計画はパー。代わりに嶺姫を仲間に引き込む、ねえ」

 「嶺春の内部情報でも引き出そうとしたんじゃない?」

などと議論を続けていれば、部屋の扉が開く。

どうやら店員が食べ物を運んできた様だ。

机の上に置かれたのは、唐揚げとチョコアイス。

それらからハラに眼球を動かし、溜息を一つ。

 「そういえば頼んでたね。私が考えてる隙に。」

 「あ、バレてた?」