黒百合の女帝

 「なら聞いたことあるかな?嶺春って」

……まさか、彼の口からその言葉が出てくるとは。

少し意外に思いながら、返事を模索する。

 「聞いたことなら。それが?」

 「じゃあ君たちの友達とか、君たち本人は嶺春と関わりがある?」

随分と嶺春を警戒する様な質問だ。

あると答えて殴られるのは嫌だし、否定しよう。

 「ないです。」

 「俺も。友達には……たっぶん居なかった気する」

 「そっかそっかあ。じゃあさ、嶺春を潰してみない?」

……罠か?

そう疑うのが自然な程に、タイムリーな話題だ。

ハラも驚いたのか、スマホを触る手が止まる。

きっと、私と似たことを考えているのだろう。

彼は、私と嶺春の関係を知っているのか、と。

しかし気になるのは、それとは別のこと。

なぜ、私が嶺姫と知っている?

嶺姫の個人情報は一切漏れていない筈。

……このまま彼を野放しにするのは危険だな。