黒百合の女帝

 「本当に色々とありがとうございます。お肉も頂いちゃって……。」

 「いやいや、ユリさんは全然食べてないじゃん。遠慮しなくても良いんだよ?」

 「そう言われても遠慮しちゃいますよ。このお店、有名ですもん。」

 「あれ、知ってるんだ」

 「ええ、以前テレビで……商談などでよく使われている、と。」

そこまで言い切り、相手の反応を伺う。

すると予想通り、余裕を滲ませる笑顔とご対面。

やはり、彼にとってこの展開は想定済みか。

 「そろそろ本題に入りましょう。ヤナギさん、私たちに何をお求めで?」

そう切り出せば、ヤナギは悩む素振りを見せた。

その隙に隣を一瞥し、ハラの様子を伺う。

どうやら無関心そうにスマホを弄っている……

様に見えるが、電源はついていなかった。

普通に聴けよと呆れていれば、ヤナギが話し出す。


 「え〜っと、まず君たちは暴走族に詳しい?」

 「ほんの少しなら。」

 「ハラくんは?」

 「ん〜?ダチがいるくらいかなぁ?」

因みに、ハラは半年前まで嶺春幹部候補だった。

私に至っては数十分前までは嶺春の姫。

つまり、両者とも暴走族にはそれなりに詳しい。

それでも無知を演じるのは、警戒の表れだ。

そしてそれを受けたヤナギはというと……

不自然なほどの笑みで、私たちを見据えていた。