黒百合の女帝

 などと悩む間に、ユリは店員を呼んでしまう。

 「すみません。この商品を買いたいんですけど。」

そう言えば、少し遅れてやってくる店員。

彼女は商品を出して貰いうと、会計へと移動してしまった。

それにより、焦りは更に加速する。

手持ちでは足りないのだから、購入は面倒だ。

しかし、二人でペアグッズの首飾りを付ける。

それは、とても浪漫に溢れているのではないか。

ちらりと、彼女の耳元を盗み見る。

あの耳飾りを奪い、海月で揃えることはない。

首飾りならば、カヤとの差別化が図れる。


 値札プレートと睨み合い、早数分。

いつの間にか、ユリが隣に戻ってきていた。

 「ラクア、買って来たよ〜。あれ、どうしたの?」

 「ああ。星の方を買おうか、検討していてな」

 「えっ、念の為言うけど、これラクアへのプレゼントだよ?両方欲しいなら良いけど……。」

袋を掲げながら、首を傾げるユリ。

どうやら、俺が自分宛てに買うと解釈したようだ。

全くもって違うのだが、否定はしないでおく。

しかし、これに対し耳飾りのみは後ろめたい。

そこで、4000円以上する腕時計を買った。

差額は5000円に縮まり、自分の中で納得する。

しかしユリはまだ勘違いしているのか、

 「それ、結構小さい腕時計だね。どちらかというと女性向けだけど、大丈夫?」

などと俺の心配をしていた。