黒百合の女帝

 「これ、ラクアに似合いそうでしょ。あっ、もし嫌なら他のに変えるけど……。」

見立ては完全に間違っていた。

土産屋に入ると、ユリは真っ先にショーケースを指差した。

箱の中には、金剛石の嵌まった三日月のネックレスが。

その隣には、同じシリーズの星バージョンもある。

値札を確認すれば、お値段なんと13000円。

彼女の財布事情が心配になり、さりげなく確認を取る。

 「嫌ではないが……値段は見たのか?」

 「勿論!手持ちでしっかり足りるよ?」

なぜそんな大金を持ち歩いているんだ。

そんな疑問が伝わったのか、彼女は解説を始めた。

 「ウェブサイトで事前にチェックしてて、前から買いたかったんだ。」

そうにこやかに言われても、荷が重い。

ただの男友達になぜ。50円の菓子とかでも俺は嬉しいのに。

それよりも危ないのが、俺がプレゼントを用意していない点だ。

あのイヤリングは渡すかどうか悩んでいる最中。

贈ったとして、あのイヤリングは4000円。

差額はおよそ9000円……自尊心が折れる。