黒百合の女帝

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 「うお〜、特上カルビ。(ヤナギ)さん、本当にこれいいの?」

 「勿論。ユリさんもお肉食べていいよ」

 「私は遠慮させていただきます。」

ソフトドリンクを一口飲み、そう答える。

すると目の前の男は「そっか」、と微笑を湛えてみせた。


 全体的に暗い和室に、厳かな空気が漂う。

そんな高級焼肉屋に来た訳だが。

メニュー表を開けばその殆どがA5ランク。

本来は予約必須なところを即個室準備。

彼が身に着けている腕時計はおよそ300万……

ヤナギと名乗ったが……一体、何者だ?

おおよそ高所得者、又は実家が太い七光りなのだろうが。

この若さで前者とすると起業家や経営者か?

などと考えていれば、やけに隣が騒がしい。

そこで思考を中断し、聞き耳を立ててみる。