黒百合の女帝

 『麓冬(ろくとう)

嶺から突き落とされ、麓まで転落した嶺姫。

雪辱を果たすべく、自ら頂まで這い上がる……

という、物語性も感じられる組織名になった。

 「ハラは勿論麓冬に入るよね?」

 「幹部とかならいーよ。総長はユリでしょ?」

 「当然。ただ、総長って立場は隠したいかな。」

そう。今回は便宜上、大層な肩書きは隠したい。

そこで必要となってくるのは『表向きの総長』。

私の代わりに、麓冬の総長を名乗ってくれる人。

 「ハラはどうせ総長のふりなんて断るでしょ?」

 「そりゃあ当然」

 「だとすると、人材の確保が優先かな。」


 そこまで言い、脳内で今後を構想する。

表向きの総長、副総長に幹部を数人確保。

その次に組織内の制度を整え、方針を固める。

人員も募集したいが、その為にはまず……

などと、暴走族の構造を練っていれば。

背後から突然、金属が凹む様な音が轟く。

それに続き、重い物が落ちる音も。

振り向いてみれば、その先は暗い路地裏。

 「……行く?」

不敵な笑みを浮かべ、顔を見合わせる。

すると彼も同じ表情を浮かべ、

 「そうだなあ。めっちゃ行く」

と即決してみせた。