「ってな訳で、追放された。」

 「え〜ようやく?逆に長く持ったくらいだね」

嶺春から追放され、約十分が経過。

場所は打って変わり、喧騒渦巻く歓楽街。

呼び寄せた悪友に近状報告を終え、溜息を吐く。

 「で、これからどうしよっか。やっぱ復讐?」

そう軽い調子で尋ねれば、彼は不敵に微笑み。

 「ま〜た悪巧み?いいね〜。協力するよ」

と、軽快な返事を寄越してみせた。


 原 俊明(ハラ トシアキ)。元嶺春所属。

コーラルオレンジに染め、緩く巻いた髪。

少し広い肩幅にゴツめの装飾品が威圧的。

しかし話してみると人懐っこく友好的。

という、悪戯好きの外向的青年が彼である。

彼が嶺春を去って以降、疎遠になっていたが……

嶺姫を降りた今は、彼と暴れたい放題。

そしてそんな時期に、丁度良い標的が。