黒百合の女帝

 「さてと。まず……ユリがサクラを虐めた。これは事実か?サクラ」

どうか、嘘と答えてくれ。

そんな願望は叶わず、返ってきたのは当然の答え。

 「はい。この傷を見てもらえばわかる通り、ユリちゃんが私をいじめたんです!」

涙を流しながら、そう訴えるサクラ。

彼女が嘘をついているようには到底見えない。

となると、やっぱりユリが……

そう短絡的にユリを疑ってしまう自分に目を背け、質問を続ける。


 「次に、ユリ。ユリがサクラを虐めた。これは事実か?」

 「……ユウヒは、私を疑ってるの?」

……は?

想定の斜め上を行く回答に、目を見開く。

違うと口走るが、それは更なる問いに遮られる。

 「私が、いじめっ子に見えるの?」

そんなわけない。そう言い返そうとした時。

___そんなことを言う資格など、俺にあるのか?

そんな疑問が、脳裏をよぎる。

ほんの少しでも、ユリを疑った俺が。

彼女と付き合い続ける資格は、あるのだろうか。