黒百合の女帝

 「へえ、聖矢って暴走族の総長なの?」

 「そう。聖蓮って言うんだけど」

そう誇らしげに語る彼を、内心嘲る。

彼の前にはロックのウイスキーが。

対して私の前には、ノンアルコールカクテルが置かれていた。

グラスを傾けながら、大げさにリアクションを取る。

 「じゃあ聖矢は強いんだ。格好良い。」

 「別に特別強くはないぜ。まあ、結構自信はあるけど」

三人相手にぼろ負けしたくせに?

という嫌味は飲み込み、笑い声を上げておく。

 「本当に?じゃあ、次の戦いで勝つ自信は?」

 「勝てるに決まってんだろ。相手はザコだし、俺一人でよゆー」

 「でも相手も暴走族なんじゃ?囲まれたりしないの?」

 「超極小の男三人組だよ。あんなん族にも入らねえ」

ああ、やっぱり次の狙いは麓冬か。

カクテルを机に置き、頬杖を突く。

ついでに彼の顔を覗き込み、適当に笑っておいた。