黒百合の女帝

 二日後。午後11時頃。

踊り狂う人々、大音量で流れる音楽。

派手な演出を背に、とにかく楽しみまくる。

のは前方の話で、私が居るのはクラブの後方。

ナンパ待ちが集まる場所で、グラスを揺らす。

偽装の身分証明書がバレなくて良かった。

ただ、標的が来るまで暇だな。

と退屈していれば、横に誰かが来る。

またナンパか……と顔を上げれば。

 「今一人?一杯奢ろうか?」

標的、発見。

思わず溢れ出す笑みを利用し、微笑を浮かべる。

 「ごめんなさい。私、今からBARに移動なの。お兄さんも来る?」

大人びた声を意識しながら、グラスを置く。

男を見上げる形で話せば、男は下心を顕著に。

 「本当か?」

 「勿論。お兄さんイケメンだから嬉しい。」

な訳ないだろお前は全てにおいてキモさ全振りだよ。

という本音は隠し、適当な台詞でご機嫌取り。

それを本気にした男は、気色悪い笑みを浮かべる。

 「お姉さんの方も綺麗だよ」

 「ありがとう。お兄さん、名前は?」

 「聖矢って呼んでくれ」

 「わかった。覚えておく。」