黒百合の女帝

 「小学の頃から空手とか、弓道とかやってたしね。」

 「そうなのか」

 「そうそう。空手は二段だったんだよ。」

彼に怪しまれぬ為、言い訳をしておく。

対人戦に長けているのは、大会に出ていたから。

と勝手に私の背景を考察してくれるだろう。

これで、彼に非行少女と疑われる事はない。

 「……あ、まだ誰も居ないね。」

身の上話をしていれば、集合場所に辿り着いた。

どうやら、まだ三人は帰って来ていないよう。

と思った隙から、聞き覚えのある声が。


 「やっぱりハラくんの暴走で終わったね」

 「二人だってそうじゃん。俺だけじゃないもん」

 「本当かな?……ってあれ、二人とも早いね」

ヤナギが真っ先に気付き、片手を振ってくる。

するとハラも正面に向き直り、お、と呟いた。

かと思えば、勢い良く駆けて来る。

 「二人ともー!どうだった?こっちは超楽勝!」

突然大声を出す彼に、正直睨みつけたくなる。

出掛かる溜息を我慢し、冷静に答えてみせる。