黒百合の女帝

 「念の為、絆創膏を持ってきたんだ。使ってくれ」

そう言い、彼が無地の絆創膏を取り出す。

その準備の良さが、彼にしては意外だった。

感謝を述べる前に、彼がそれを傷口に貼る。

消毒はしていないが……まあ、別に良いか。

 「ありがとう。ラクアの方は大丈夫?」

 「ああ。なんともない」

予想通りの返答を聴き、軽く頷いて見せる。


 その後、暫く沈黙が続いた。

が、珍しくラクアから口を開く。

 「ユリがこんなに強かっただなんて、思いもよらなかった」

 「そう?ラクアよりかは弱いよ。」

 「それはまだわからない」

判断材料が少ない、ということだろうか。

確かに、私は殆ど手を抜いた。

ただ、彼ならば既に勘付いているだろう。

私の動きは、手練にしか出来ない芸当だと。