ユリがサクラを虐めたというのは嘘だ。

心の奥底で、無意識にもそう信じていた。

誰よりもユリの無実に確信を抱いている。

抱いている、はずなのに……

どうしても、霧が晴れない。

具現化できない不安が、胸中に広がる。

今の所、サクラ以外は証拠を持ってきていない。

これでは、ユリへの疑惑を晴らすことができない。


 彼氏失格だな、と自らに罰を与えたくなる。

肝心な時に、彼女を守れないだなんて。

勿論、総長なのだから事をうやむやにもできる。

しかし、それでは尚更ユリの居心地が悪くなるだけだ。

俺が下手に動いたら、ユリを不幸にさせてしまう。