「百合(ユリ)ちゃんに、いじめられてるの!」

十月上旬、午前零時過ぎ。

幹部室の扉を開けた途端、そんな叫声が耳を擘く。

なにかと思えば、そこには泣き崩れる少女が。

ついでに、彼女を見守る四人の青少年たち。

計五名が、敵意の含まれた疑惑を私に向ける。

しかしそれを物ともせず、真っ先に少女の元へと駆け寄った。

 「(サクラ)……!?その傷、どうしたの!?」

そう叫び、彼女の肩に触れようとすれば。

彼女の番犬である少年が、私の手を払いのけた。

 「サクラに触んな!お前がしたくせになにしらばっくれてんだ!」

そんな怒号を聞きながら、火照る手背を摩る。

彼の行動一つで、大方予測はできた。

サクラは、私に『悪女』というレッテルを貼り終えた。

そして今、私を追い出そうとしている……と。