「好きです、付き合ってください!」

私は、姫川 故由梨《ひめかわこゆり》

恋に憧れる、中学二年生です

たまたま告白現場である空き教室のドアの前に立っており、私は盗み聞きするようなことになってしまった

名前も知らない勇気のある女の子に心の中で謝りながら、そっとその場を立ち去る

私も素敵な恋をしてみたい

ずっとずっと、そんな夢をもって14年間過ごしてきた



だけど・・・

ドン

「あ、ごめん!」

「い、いえ・・・」

私は男の子が苦手。

男の子と触れた場所は震えて、冷や汗がぽたぽたと垂れる。

震えて声も出ず、ヘナヘナとみっともなく床に座り込む

私とぶつかった男の子は、友達のいるところに小走りで向かっていた。

私が震えた足を立たせようとしたとき

「大丈夫ですか?」

上の方から声がした。

目の前には、ゴツゴツとした大きな手が出されていた。

戸惑いつつも、私は差し伸べてくれた手をとる

不思議とその男の子に対して、恐怖はなかった。

「ありがとう、ございます」

ふわりと風がふき、目の前の男の子がハッキリと見える

真っ直ぐな黒色の髪に、グレーの瞳、背も高く、美形

思わず、息をのんでしまうくらい美しい容姿に見とれてしまいそうになる