学園の冷血王子様はどうやら私の大ファンらしい

スポーツ大会前日となった。

放課後も練習に励んでいる人を横目に私は階段のおどり場で「アイカタ」の小説版を読んでいた。

やっぱり恋愛は難しい.....。
今度あいちゃんとかに聞いてみようかな.....?

「何してんだ」

「あっ、まことくん。読書だよ」

「こんな所で?」

確かにおどり場で読書する人なんてなかなかいないよね....。

「だって、憧れだったんだもん」

「憧れ?」

「うん」

物心ついた時からずっとアイドル業界にいた。
そんな私にとってこうやって学校でなにかすることが密かの願いだったんだ。

「青春してるって感じ!」

「.....あっそ」

相変わらず素っ気ないな〜。

私は体育館の方を見ながら言った。

「......明日だね、スポーツ大会」

「あぁ、お前バレーできんの?」

「なっ!!失礼な!出来ますけど??」

もしかしてからかいに来た?!

「そうか、じゃあな」

まことくんはその場から立ち去ろうと足を動かした。

「まって!まことくん!」

思わず引き止めてしまった。

どうしよう、勢いで止めて何も考えてなかった...!!

「あっあのね....がっ頑張ろうね!スポーツ大会!」

そう言って私は拳を突き出した。
まことくんはその様子に笑いだした。

「なんだよ、それ、」

「別にいいじゃん!はやく!」

恥ずかしいから早くして欲しいんだけど..... 。

「はい、はい」

彼は優しくこぶしを合わせてくれた。
なんだか気恥ずかしくなってつい目を逸らしてしまった。

「頑張ろうな、天ノ川」

「......!うん!」

私は行ってしまったまことくんの後ろ姿をずっと眺めていた。
苗字.....初めて呼ばれたかも......。
もしかして少しでも私の事見てくれてる?

そう思うと自然と笑顔がこぼれた。

その日の夕焼けはなんだかいつもより輝いて見えた。