わたしは夏のにおいが好き
熱い日差しで焼けたアスファルトのにおい、
小学生の頃をふと思い出してしまうプールのにおい、
窓を開けていちばん、虫たちの大合唱とともに感じる草花のにおい、
わたしは今年も夏を迎えられたことに嬉しくなったりする。
夏休みの3分の1が終わったというのに、夏らしいことを何ひとつやり遂げていないことに危機感を感じていた。
クラスの子たちは、花火大会や海、恋人と出掛けたり、とかなり充実してそうなのが見てとれた
「わたしの青春どこなのよーーー!!」
「お姉ちゃんうるさいって!」
「はいはい、ごめんって。でもしょうがないでしょ?お姉ちゃんだってドキドキ、ウキウキしたいの!」
「だったらすればいいじゃん、」
わたしは、高校3年生 朝霧 唯花 (あさぎり ゆいか)。
そして、朝からうるさいわたしをうんざりした様子で宥めるのは5歳年下の妹、結菜 (ゆな)。
5つも違うのになぜか妹のほうが大人びている。
「今日小学校の祭り行ってくるから。」
「え!わたしも行きたいんだけど、結菜わたしも一緒に、」
「無理!!」
「なんでー!わたし今年の夏1回もお祭り行けてないの!」
「だったら友達と行きなよ」
「いや、だってさ心の友といえる程の友達はいるけどさぁ〜、彼氏との予定で埋まってるっていってたし。ほんと酷いもんだよね。」
「友達と約束してるのにお姉ちゃんが一緒とか流石に無理だから。」
「わかったよ。1人でも全然平気だし!」
思春期に入った年頃の妹にはわたしのベタベタさがうざったいらしい。
つい数年前まではわたしのことをねぇねー!って真似っこしながら追いかけ回していたくせに、


