漢字(かんじ)初めて話せて、少しドキドキしたな。最近、海也くんと出会ってから、好きな人のことを何も感じなくなってきた。幼馴染なので、お母さんがたまに、名前を出してきても、どうでも良くなってきた。吹っ切れてよかった!っていう気持ちが大きいのかも。このきっかけをくれた海也くんに感謝しなきゃ。

このことをクラスが違う、上野美空(うえのみく)に報告しようと、隣のクラスに向かった。

「え〜千春!」
「美空、やっほー!」
「実はさ、片思いにやっと終止符打てた!!」
「2年も好きだったのを!?」
「うん!今はせいぜいして、気分スッキリよ」
「えっでも、なんで?そんな急に。。。」
「実は塾でとある男の子が気になって、それで吹っ切れて」
「え〜恋の予感。こんど、じっくり聞かせてよ」
「ふふ、わかった」
「楽しみにするね、次の報告」
「うん」
「またね」
「まったね〜」

嬉しくて、スキップしたいぐらいの日だけど、今日は寄りよって雨なんだ。塾の時、大雨じゃなきゃいいけど...

急いで支度を終わらせて、家を出ると雨が降ってたけど、大雨じゃなかった。塾の近くまでお母さんに送ってもらって、傘をさして、できるだけ、急ぎ足で向かった

「千春さん」
「えっ海也くん!?どうしたの?」
「歩いてるとこみて」
「えっ傘は?」

傘をささずにいたので私の傘に入れると、顔が赤くなってしまった。風邪引かないよね?

「ない」
「えっ!なんでよ〜」
「家出る時、降ってなかったもん」
「そういうことか〜よかったら、私のに入る?風邪引くと良くないでしょ」
「いいの!?ありがとう」
「ねえ、なんでそんなに離れてるの!濡れちゃうよ」
「いや、申し訳なくて」
「風邪引くほうが申し訳ないからね!」
「ごめん、ありがと」
「大丈夫だよ」
「後、少しだから」
「僕が傘持つよ」
「えっ」
「だって、僕が入ると持ちづらいでしょ」

実は高身長の海也くんの高さに合わせようとすると、身長が高いほうの私でも、きついのだ

「ありがとう、ごめんね///」
「別に、いいよ。こっちも入れてもらってるし」
「お互い様だね笑」
「確かに笑」
「そういえば、誕生日いつ?」
「11月12日」
「え〜遅いんだ」
「じゃあ、早いの?」
「うん、7月20日」
「あっ早いね」
「うん」
「いいな〜」
「なんで?」
「だってさ、半年おきにプレゼントもらえるじゃん」
「あ〜そゆこと笑笑」
「ねえ、どこ中なの?聞いてなかったから」
「えっと、桜ヶ丘中だよ。海也くんは楓華と一緒だから青葉中だよね?」
「うん。確か、桜ヶ丘中って頭の良さでクラスが別れてるんだよね」
「あ〜A組かB組ってことか」
「どっちの組なの?」
「どっちだと思う〜笑。海也くんは何組?」
「僕は3組、千春さんA組?」
「じゃあ、楓華とは別なのか。よく、わかったね」
「頭よくない?」
「そんなことないよ」
「え〜まじか...」
「海也くん、頭いいでしょ」
「そんなことないよ、壊滅的な教科あるし」
「私も笑」
「得意教科なに?」
「英語と社会かな。理科、数学が苦手だから、まあ、文系教科は得意かな?あと、副教科も笑」
「え〜僕は理系教科が得意かな。逆に文系教科めっちゃ嫌い。副教科も」
「正反対だね笑」
「確かに笑笑」
「あのさ、よかったら、理系教科、教えてくれない?実力テスト不安で」
「えっめっちゃいいよ!僕にも教えて」
「いいよ!!一緒に頑張ろ!」
「うん」

そうしていると、塾についた。教室に2人で入ると、祐樹くんと優花ちゃんがこっちをニヤニヤしながら見てきた

「お熱いですね〜2人で通塾だなんて」
「バカ、ちげーよ」
「ほんとーにか?」
「えっと、さっき、近くでたまたま一緒になっただけなので...」
「えっと、千春さんだったっけ?俺、祐樹」
「あっ、千春です」
「ふ〜ん、一緒にね〜」
「別に傘、貸してもらっただけだし」
「えっ相合い傘!?」
「優花ちゃん!?そういうわけじゃないよ。風邪引いちゃうでしょ」
「なるほどね〜」
「千春さん、入れてくれてありがとう」
「うん、こっちこそ、傘持ってくれてありがとう」
「はっ!?千春ちゃんの傘を海也が持って、一緒に相合い傘してたの!?!?」
「うん、海也くんの身長が高すぎて笑」
「まあな」
「え〜千春ちゃんも高いのに〜」
「本当に高すぎて、びっくりしたよ〜」
「それで、帰りはどうするんですか??お二人さん」
「海也くん、大丈夫?」
「雨降ってたら、お願いしていい?」
「いいよ〜!風邪引かないのが一番だから!」
「ありがとう!」

傘の下で少しだけ近くなった距離に、思わず胸がきゅんとする。 これからもっと、自然に話せるようになれたらいいな。

「ねえねえ!千春ちゃん」
「どうしたの?」
「できれば、男子たちに聞こえないような声で話さいない?」
「ん?いいけど...」
「あのね、インスタやってる?」
「やってるけど、スマホ持ってなくて、家族のスマホだから、返信遅いかも」
「全然いいよ!」「交換しよ!」
「私のユーザーネームは〇〇だよ」
「これ?」
「そうそう!」
「そうだ、楓華をフォローしたくて...」
「教えとこうか?」
「お願い」
「りょーかい」
「ありがとう〜」
「そういえば、男子のどっちがタイプ?」
「え〜秘密〜」
「教えてよ〜。私は祐樹かな。イケメンだから」
「なるほどね〜あんまり、祐樹くんのことイケメンとは思わないんだよね」
「えっじゃあ、海也?」
「うーん、どうでしょう笑」
「なるほどね。相合い傘どうだった?」
「ちょっと、距離近いからドキドキしちゃった」
「うんうん!帰りが楽しみだわ〜」
「そう?」
「うん!」

授業が終わり、傘を持ち、外へ出ると、雨がやっぱり、降り続いてた。

「海也くん、どうする?」
「お願いしていい?」
「いいよ〜」
「ありがと///」
「またね〜優花ちゃん!」
「バイバイ、千春ちゃん!楓華には言っとくね〜」
「ありがとう〜」
「僕がさすよ」
「ありがとう///」
「実力テストのことなんだけど、勉強、教えてくれない?」
「いいよ!私も、お願い」
「全然いいよ」
「負けないように頑張る!」
「こっちこそ(笑)」
「あっ雨、やんだね」
「ほんとだ」
「傘、閉じていいよ」
「ごめん、ありがとう。助かった」
「全然いいよ」
「またね」
「うん、またな」

――相合い傘で少し前より自然に話せた。肩がほんの少し近くて、胸がきゅんと鳴った。これからも、もっと話せたらいいな。