悪魔を召喚したならば


 それが最初。
 それ以来、一緒に図書室へ行くようになって、お互いに本を勧め合うようにもなった。
 このときも本の中身は重要ではなかった。
 単に燈吏くんと共通の話題がそれだったというだけ。

 悪魔が、おずおずと訊いてきた。

「…… 燈吏のこと、好きだとか⁇」
「どうだっていいでしょ⁉︎」

 つい口調がキツくなってしまったのは、図星だったから。

「へえ、あー、そう」
「何であんたが照れるのよ!」
「て、照れてなんかねえよ」

(はっ、いけない!)

 こんな言い合いしてても何にもならない。

「何だっていいでしょ? とにかく燈吏くんに会わせてほしい。また元の学校に転校して帰ってくるとか、」
「無理‼︎」

 すげない返答。

「悪魔のくせに、その程度もできないって言うの?」
「そんなんじゃなくて……んー」