「一思いにやっちゃってください!」
「言い方……」
不満そうに眉間にシワを作ったけれど、呪文は唱えてくれた。
悪魔の左人差し指から細い煙が出て、私の胸に吸い込まれていく。
ギュッと心臓を糸で縛られたみたいな感じがした。
「でも、わざわざこんなことする必要が?」
「願い事を叶えてやったのに、いざ寿命をもらう段になって、エクソシスト呼ばれても追い払われても困るんでね」
「そんなことしません!」
「お前はそうだろうけど、一応全員に事前契約を結んでもらうことにしてんの」
「ふーん」
(『お前はそうだろうけど』って、私のことを信用してくれるんだ)
悪い気はしない。
「で、何を願う?」
「燈吏くんに会わせてください!」
「はああ?」



