悪魔を召喚したならば


「あ、あ……」

(悪魔⁉︎)

 自分で呼び出しておいて情けないことに、私は恐怖で動けなくなってしまった。

 ゆっくりと煙が薄くなっていく。
 それにつれ、悪魔の姿が徐々にはっきりしてくる。

「げっ! 何でお前が?」

 私は目を見開いた。

「嘘っ、燈吏くん⁉︎」

(願いを叶えてほしくて悪魔を召喚したはずが、願う気持ちが強かったせいで、いきなり燈吏くんを召喚しちゃった??)

 だとしたら、うれし過ぎる。

「ちっげーよ、バーカ。燈吏なんて知るかよ」

(あっ、絶対に燈吏くんじゃない……)

 でも、悪魔に願いを叶えてもらえればいいだけのこと。

「で、俺と契約するつもりで呼び出したのか?」
「そうです」
「分かってんのかなあ。願い事をひとつ叶える代償として、こっちは寿命をもらうんだけど?」
「構いません!」
「じゃあ、契約魔法をかけてもいいか? 願い事が叶うと同時に寿命を頂くことになるけど」

 望むところだ。