赤絵の具を水で溶いて筆に含み、ゆっくり六芒星を描く。
各頂点に置くろうそくには、お母さんのアロマキャンドルを使うことにした。
火を点けずにとりあえず配置してみる。
直径が大き過ぎて、せっかく描いた六芒星がほとんど覆われてしまった。
(だけど、悪魔の召喚は見た目じゃないと思う。間違ったことはしてないはずだから、きっと大丈夫、うん)
中央に生肉を。
これは冷蔵庫から豚こまを1枚失敬してきた。
いよいよキャンドルを灯し、息を整えて呪文を唱える。
「悪魔様、悪魔様……」
灯が大きくなり、不安定に揺れ始めたかと思ったら、黒い煙がもくもくと発生し、雲のような塊になる。
(これ、大丈夫なの⁉︎)
バケツに水を張って持ってこようと、バッと立ち上がった。
そのとき、煙の雲の中に浮かぶ双眸と目が合った。



