「ついでに、栞のクラスの中で、イジメなんてクソだせえことはしないやつらの名前も教えておこうか?」
「『クソだせえ』って」
「だっせえよ。そういうことするやつの魂は、俺ら悪魔に似た臭いがするからすぐに分かる。それで言うと、俺が逃げたくなるような臭いを発してるやつは健全な心をもってるってことだ。たとえば、ゆ……」
「あー、それは言わなくていい」
「ホントか? ちょっと声をかけられただけで、燈吏の本性も見抜けずに、簡単に心を許すようなお前が?」
「大丈夫!」
教えてもらわなくても知っている。
友香ちゃん、茜ちゃん、奈々美ちゃん。
事あるごとに、私のことをさりげなく気にかけてくれる。
授業で自由にグループを作らないといけなくなったときにも入れてくれた。
それでも、必要以上に接点をもつことを拒絶してきた。
もう二度と、仲がいいと思っていたクラスメイトから突然ハブられたくないから。
あんな目に遭うくらいなら、最初からひとりでいたほうがマシ──
そう思っていた。



