悪魔を召喚したならば


(燈吏くん、そうだったんだ……)

 私に話しかけてくれたのは、目的があったからなんだ。
 そして、この悪魔が頑なに燈吏くんと会わせてくれないのは──

「見てたけど、見てらんなかった! なあ、頼むから、殻に閉じ籠んないでくれ。お前は本来ならいろんなやつから好かれる人間で、そうなるべきなんだよ。栞のほうから声をかけてみろよ」
「そんなこと言われても……」

 教室にひとりで立ち尽くす孤独と、冷めた笑いに囲まれる苦痛が蘇る。

「あー、じゃあ、もういいよ。こうしよう。クラスメイト5人以上に話しかけることができたら、燈吏がお前に会いにいく」
「……3人じゃダメ?」
「ったく、しょーがねえな。いいよ、3人で」

 口を尖らせて、不満気に言う。

「へへっ、やった」

(口は悪いけど優しいんだよね)