悪魔を召喚したならば


──うーん。それよりも、ほかのクラスメイトと仲よくなりなよ。

 燈吏くんはそう言ったのだった。

「悪魔の俺とこんだけ喋れるなら、人間となんて余裕なはずだろ」
「無理。怖いもん」
「どこが? 今同じクラスにいるあいつらは、お前をイジメたやつらと違うだろ」
「‼︎」

 そのことは、燈吏くんにも話したことはなかった。
 イジメられた経験があるから、クラスメイトと距離を取ってるなんて知られたら、惨めに思われそうで。

 でも、イジメられたのは過去のこと。
 悪魔の言った通り、今のクラスメイトにイジメられたことはない。

「栞から壁作ってるだけで、休み時間に栞に声かけたそうにしてるのもいたけど?」
「何で知って……? それに私の名前も!」
「……見てたから」
「『見てた』って? まさか?」
「ああ、そうだよ。人間の心を知るために紛れてたんだよ。そうやってわざと自分を孤独にしてるから、つけ込みやすそうだと思った!」

 どうやら開き直ったらしい。
 衝撃の事実をバラしているにも拘らず、態度がデカい。