(そっか。何でもお見通しの悪魔の目から見て、私と燈吏くんの再会はありえないんだ……)
泣きたい気分。
それには悪魔の存在がジャマだった。
「召喚に応じてくれてありがと。でも、お願いしたいことがなくなっちゃったから、帰ってくれていいよ」
「はああ? それはできない!」
悪魔は本気で焦っている。
「どうして?」
「契約しちまったから! 願いを叶えないと帰れないんだよ‼︎」
「そんなこと言われても……」
燈吏くんに会いたいという以外、寿命と引き換えにしてまで悪魔にお願いしたいことなんてない。
「何でもいいって。めちゃくちゃ簡単なことをお願いしてくれよ。寿命30秒くらいでやってやるから」
「……ちょっと考えさせて」
そうは言ってみたものの、わざわざ悪魔召喚までやってのけたのに、燈吏くんには会えないのだ。
ショックで、何も考えることができなかった。



