頭が追い付かない。
いや、追いついてないのは心か。
あぁ、もうどっちでもいい。
深夜2時半。
私は、静まり返る街を何かに追われるように
早足で歩いている。一人で。
衝撃発言の銀丈くんは、
たわいもない話を織り交ぜながら、
何事もなかったように、
私に腕枕をしたまま眠りについた。
眠れるわけなんてない私は、
深い寝息を立てた銀丈くんを確認すると、
静かにマンションを出た。
「俺好きな女いるから」
何度も 何度も脳内再生される。
好きだと思ったあの声が、
想定外の言葉を吐いた。
ワンナイトなんて珍しくない。
気軽に、気楽に、挨拶がわり。
気の合った同士で快楽を共有するだけ。
私の周りには、そんな子いっぱいいる。
自分だってしたことないわけじゃない。
なのに、
なんでこんなに悲しくて、悔しくて、
心がざわざわするんだろう。
頭に乗せた大きな手も、
子どもみたいな笑顔も、髪も、声も、唇も
まだこんなに近くに感じるにのに。
好きになる前に言ってよ。ばか。
まだ電車もない。
タクシー乗ったら高いだろうなぁ~。
あ、マリんち泊まるって言って出てきたから
まだ家には帰れないな。
漫画喫茶でも行くか…。
いたたまれない気持ちで途方に暮れていると、
LINEの通知音がした。
目についた24時間のファミレスにいることを伝えると、送信主は、スウェットのセットアップに乱れた髪で
原チャリを飛ばしてやってきた。
私より泣きそうな顔で。
「マリ」
ファミレスのテーブルから手を振ると
わき目もふらず走ってきた。
「せり~。だいじょうぶ?」
怒ったような、泣きそうな顔のマリは
それでも可愛かった。
マリの家に行くと言って家を出るとき、
アリバイを兼ねてマリにLINEをしておいたから、
そのあと何度か返信が入っていた。
私は、返信する気も回らず
舞い上がっていたけれど、
夜中でも打ちのめされた友達のために
駆けつけてくれるマリの気持ちが
今は本当にありがたい。
始発までの間、
マリは話を聞いている間中ずっと怒っていた。
私の代わりに腹を立てることで
励ましてくれてる。
「もうさ、あんなクソ男忘れて、次行こ。」
マリは元気で前向きだ。
救われる思いで私は笑った。
結局、一旦解散して、
私は始発で駅に戻り自転車を回収してから
マリの家に泊まっていたテイで
こっそりマリの部屋に忍び込み
昼過ぎまで爆睡した。
夢に銀丈君が出てきたような気もしたけれど、
目が覚めたら忘れてて、ほっとした。
マリが敷いてくれた布団からようやく起きだすと、
マリは電話中だった。
「あぁ、それな。おけ。じゃあとで~」
この口調だと、電話の主はコウヘイだな。
「あ、起きた?今日行くっしょ?
コウヘイ夜迎え来るって。ハジけて忘れよ」
当たり。
今日は土曜日。
コウヘイがバイトで行きそびれたクラブへ行こうと約束してた日だった。
こんな日は私も一人でいたくない。
爆音で気に入った音を浴びて発散したいな。
「よし!いくか~!とりま、もっかい寝るわw」
もう、わすれよう。
犬のうんこ踏んだぐらいのもんだって
言い聞かせて、また目を閉じた。
いや、追いついてないのは心か。
あぁ、もうどっちでもいい。
深夜2時半。
私は、静まり返る街を何かに追われるように
早足で歩いている。一人で。
衝撃発言の銀丈くんは、
たわいもない話を織り交ぜながら、
何事もなかったように、
私に腕枕をしたまま眠りについた。
眠れるわけなんてない私は、
深い寝息を立てた銀丈くんを確認すると、
静かにマンションを出た。
「俺好きな女いるから」
何度も 何度も脳内再生される。
好きだと思ったあの声が、
想定外の言葉を吐いた。
ワンナイトなんて珍しくない。
気軽に、気楽に、挨拶がわり。
気の合った同士で快楽を共有するだけ。
私の周りには、そんな子いっぱいいる。
自分だってしたことないわけじゃない。
なのに、
なんでこんなに悲しくて、悔しくて、
心がざわざわするんだろう。
頭に乗せた大きな手も、
子どもみたいな笑顔も、髪も、声も、唇も
まだこんなに近くに感じるにのに。
好きになる前に言ってよ。ばか。
まだ電車もない。
タクシー乗ったら高いだろうなぁ~。
あ、マリんち泊まるって言って出てきたから
まだ家には帰れないな。
漫画喫茶でも行くか…。
いたたまれない気持ちで途方に暮れていると、
LINEの通知音がした。
目についた24時間のファミレスにいることを伝えると、送信主は、スウェットのセットアップに乱れた髪で
原チャリを飛ばしてやってきた。
私より泣きそうな顔で。
「マリ」
ファミレスのテーブルから手を振ると
わき目もふらず走ってきた。
「せり~。だいじょうぶ?」
怒ったような、泣きそうな顔のマリは
それでも可愛かった。
マリの家に行くと言って家を出るとき、
アリバイを兼ねてマリにLINEをしておいたから、
そのあと何度か返信が入っていた。
私は、返信する気も回らず
舞い上がっていたけれど、
夜中でも打ちのめされた友達のために
駆けつけてくれるマリの気持ちが
今は本当にありがたい。
始発までの間、
マリは話を聞いている間中ずっと怒っていた。
私の代わりに腹を立てることで
励ましてくれてる。
「もうさ、あんなクソ男忘れて、次行こ。」
マリは元気で前向きだ。
救われる思いで私は笑った。
結局、一旦解散して、
私は始発で駅に戻り自転車を回収してから
マリの家に泊まっていたテイで
こっそりマリの部屋に忍び込み
昼過ぎまで爆睡した。
夢に銀丈君が出てきたような気もしたけれど、
目が覚めたら忘れてて、ほっとした。
マリが敷いてくれた布団からようやく起きだすと、
マリは電話中だった。
「あぁ、それな。おけ。じゃあとで~」
この口調だと、電話の主はコウヘイだな。
「あ、起きた?今日行くっしょ?
コウヘイ夜迎え来るって。ハジけて忘れよ」
当たり。
今日は土曜日。
コウヘイがバイトで行きそびれたクラブへ行こうと約束してた日だった。
こんな日は私も一人でいたくない。
爆音で気に入った音を浴びて発散したいな。
「よし!いくか~!とりま、もっかい寝るわw」
もう、わすれよう。
犬のうんこ踏んだぐらいのもんだって
言い聞かせて、また目を閉じた。
