まぶしっ。
初めて銀丈くんと待ち合わせしたときも
こんなハイビームで照らされたっけなぁ。
そうそう、あんな黒い車でさ。
何見ても銀丈くんを思い出す癖
そろそろ痛いなぁ。
ゆっくり動き出す車を眺めて…
目を疑った。
春樹くん?
…じゃなくてっ!!
その後ろっ!!!!!
後部座席に
卒業式の日から
何万回も探した姿を見つけた。
少し痩せた顔
短くなった黒髪
切れ長の目と通りの良い鼻筋
見間違うはずなんかない。
待って 待って
思考が停止したけど
身体は勝手に走り出した。
急いで道路を渡ると
車は動き出していて
路肩から本線に乗るところだった。
待って 待って
車がゆっくり遠くなる。
私の足は震えてもつれて
転んでしまった。
道路に座り込んで
呆然と
小さくなる車を見送る。
両膝が熱くジンジンしてきた。
涙がポタポタ落ちて
道路に小さな水たまりを作った。
道路の真ん中で
車が止まった。
ドアが開いて
降り来てきた人影が
こっちを向いている。
長身に長い手足
広い肩幅
見間違うはずなんかない。
「銀丈くん⋯」
何百万回呼んでも
届かなかった名前を口にする。
もう一度
「銀丈くん…」
ゆっくり歩いてくる姿に
涙が溢れてきた。
立ち上がって
もう一度
「銀丈くん…」
滲んだ視界で姿を捉え
私はまた走り出した。
「せりっ!!!」
大好きな声が私を呼んだ。
ずっと ずっと
待っていた声が聞こえる。
「銀丈くんっ!!!!」
大好きな人の名前を呼んだ。
ずっと ずっと
呼び続けた声が届く。
互いに手を伸ばし
吸い寄せられるように駆け寄った。
強く抱きしめられた腕の中で
銀丈くんの匂いに包まれる。
独りぼっちで抱えた思いが
ほどけていった。
「ごめんな」
銀丈くんの低くて甘い#Fの声は
何一つ変わらずあの日のままで
涙でぐしゃぐしゃになった顔で見上げると
少し眉毛を下げ
困ったような瞳の奥に
私が映った。
「また泣いてんの?」
そう言って唇を噛んだ。
「銀丈くん」
私は首を横に振って
涙声で大好きな人の名前を呼ぶ。
「ん?」
強くて優しい目が私を探る。
「銀丈くん。おかえり」
泣き笑いの私を見て
銀丈くんは目を細めてフッと笑った。
あぁ、この声と顔にあの日恋に落ちたんだ。
あぁ、私は何度でも恋をする。
やっと言える。
好きより
大好きより
もっと もっと大きい
甘くて重い特別な言葉。
銀丈くんに恋をして
初めて知った
「愛してる。」
初めて銀丈くんと待ち合わせしたときも
こんなハイビームで照らされたっけなぁ。
そうそう、あんな黒い車でさ。
何見ても銀丈くんを思い出す癖
そろそろ痛いなぁ。
ゆっくり動き出す車を眺めて…
目を疑った。
春樹くん?
…じゃなくてっ!!
その後ろっ!!!!!
後部座席に
卒業式の日から
何万回も探した姿を見つけた。
少し痩せた顔
短くなった黒髪
切れ長の目と通りの良い鼻筋
見間違うはずなんかない。
待って 待って
思考が停止したけど
身体は勝手に走り出した。
急いで道路を渡ると
車は動き出していて
路肩から本線に乗るところだった。
待って 待って
車がゆっくり遠くなる。
私の足は震えてもつれて
転んでしまった。
道路に座り込んで
呆然と
小さくなる車を見送る。
両膝が熱くジンジンしてきた。
涙がポタポタ落ちて
道路に小さな水たまりを作った。
道路の真ん中で
車が止まった。
ドアが開いて
降り来てきた人影が
こっちを向いている。
長身に長い手足
広い肩幅
見間違うはずなんかない。
「銀丈くん⋯」
何百万回呼んでも
届かなかった名前を口にする。
もう一度
「銀丈くん…」
ゆっくり歩いてくる姿に
涙が溢れてきた。
立ち上がって
もう一度
「銀丈くん…」
滲んだ視界で姿を捉え
私はまた走り出した。
「せりっ!!!」
大好きな声が私を呼んだ。
ずっと ずっと
待っていた声が聞こえる。
「銀丈くんっ!!!!」
大好きな人の名前を呼んだ。
ずっと ずっと
呼び続けた声が届く。
互いに手を伸ばし
吸い寄せられるように駆け寄った。
強く抱きしめられた腕の中で
銀丈くんの匂いに包まれる。
独りぼっちで抱えた思いが
ほどけていった。
「ごめんな」
銀丈くんの低くて甘い#Fの声は
何一つ変わらずあの日のままで
涙でぐしゃぐしゃになった顔で見上げると
少し眉毛を下げ
困ったような瞳の奥に
私が映った。
「また泣いてんの?」
そう言って唇を噛んだ。
「銀丈くん」
私は首を横に振って
涙声で大好きな人の名前を呼ぶ。
「ん?」
強くて優しい目が私を探る。
「銀丈くん。おかえり」
泣き笑いの私を見て
銀丈くんは目を細めてフッと笑った。
あぁ、この声と顔にあの日恋に落ちたんだ。
あぁ、私は何度でも恋をする。
やっと言える。
好きより
大好きより
もっと もっと大きい
甘くて重い特別な言葉。
銀丈くんに恋をして
初めて知った
「愛してる。」
