恋の囚人番号251107都合いい女

「ぁ…ん。…ふぅ…はっ。」
言葉にならない、甘ったるい鳴き声が浮遊する。
もう、どれくらいこうしているだろう。

2枚のバスローブは、
ずいぶん前から床に散らかっている。

むき出しの銀丈くんの身体は、
スーツ越しに見立ててた通り、
鍛え上げられていてどこもかしこも力強く硬い。

左肩から胸にかけて
大きなトライバルの獅子のタトゥーが
牙を剥いて私を見ている。
視覚・聴覚・嗅覚が
すべて銀丈くんだけで塞がれて、
私はすでに
2度も大きな高まりを与えられていた。


ソファの上で銀丈くんに跨ったまま、
あっという間に骨抜きにされた私の身体は、
どこもかしこも銀丈くんの下先や指の熱が残ってる。


「すげぇ濡れてる」
滴る蜜を指ですくい味見するように唇に当てると、
指の隙間から舌を出して笑った。

卑猥にゆがんだ笑顔なのに、
怖いくらい綺麗でおへその下が
疼きを感じて熱くなった。

ちゅぽんっ

わざと音を立てて自身の指を舐め濡らし、
私の唇をなぞり口内に入ると
口をこじ開け歯や歯茎をなぞった。

少し苦いその指に追いつこうと自分の舌を絡め、
半泣きで見つめるけど言葉が出てこない。

「えっろ。」
私はずっと鳴かされてばかりで、
銀丈くんは
ずっといたずらっ子の笑みを浮かべている。

「だって…。ぁん…好きになっちゃ…ぅはっ…ったんだもん。」

急に銀丈くんはいたずらの手を止めた。
じっと私を見ると卑猥な悪魔顔が消えフッと笑った。

優しい顔だったけど
少しだけ悲しそうだったのは照明のせいかな。

「来いよ」
そのまま、手を引かれてリビングを後にした。



大きな大きなベッドがあるだけの広い寝室で、
改めて銀丈くんとむきあった。

全裸で正座。

思わず二人同時に吹き出した。


目が合う。何かを見透かすような艶っぽい視線に、
思わず目を伏せてしまう。
静寂が訪れ、
そっと見上げるとまた視線がぶつかった。

今度はどちらからとでもなく、
身体を寄せ合い唇を重ねた。

優しく そっと。
だけど、甘く。

互いに顔を傾け何度もキスをして、
銀丈くんに身体を支えられながら横たわる。

覆いかぶさる銀丈くんで私の視界はすべて埋まった。
世界のすべてが銀丈くんになった。

「銀丈くん…」
「ん?」
小さく呟くと、優しい#Fが聞こえた。

「銀丈くんのこと、好きになってもいい?」
コトの最中に
少女漫画みたいな告白してる自分が恥ずかしくて、
思わず両手で顔を隠したら
銀丈くんは
私の両手を頭上で拘束したまま、唇を塞いだ。

それから

互いの体温を重ね一つに繋がった。
押し寄せる快楽の波に跳ねる身体
汗も吐息も混ざり合って、
どちらのものかわからなくなる。

どんどん熱く火照る身体と高まる鼓動
眉間に皺を寄せた銀丈くんが果てるとき
私はその広い背中に爪を立てた。


銀丈くん好き 好き 
きっと もっと 好きになる


気怠い高揚が残る乱れたシーツの上で
銀丈くんが腕枕してくれる。

たわいもない世間話をしながら、
お互いに知らないことが”知ってること”になって
距離が近くなっていく気がした。


銀丈くん好き 好き 
これから どんどん 好きになる



ふわふわした確信に
どんどん支配されていく。

銀丈くんは、サイドテーブルの煙草に手を伸ばし、
火をつけて私と反対側に煙を吐いた。



「俺、好きな女いるんだよね」




え?


まって。頭が完全フリーズ。
「だからさ、お前は俺が追いかけるような女になれよ」


は?