恋の囚人番号251107都合いい女

湖の別宅から
銀丈くんが帰ってくる。

抜糸も済み
驚異的な回復力だと
おじいちゃんの太鼓判付きで。

しかも
自宅に帰ってくる。

ってことは、きっと
もう大丈夫なんだよね?
ホテルで会ってた時とは
事情が変わって
元通りになるってことだよね?

嬉しい。
何もかもが嬉しい。

ハロウィンに言ってた
「一緒に暮らす?」
が、真実味を帯びてきて

何もかもが上昇。
春とともに
色んなHAPPYがやってくる。


銀丈くんの待つ自宅へ向かう足取りも
めちゃくちゃ軽い。


ピンポン♪ガチャ

「銀丈くんっ!!おかえりー」
嬉しいが、駄々洩れで
玄関が開くのと同時に抱き着いた。

「あの…」

聞いたことない声と
きつい香水に
「ひゃっ」
慌てて後ずさりして玄関に頭ぶつけた。

え?!誰?!

「何してんの?お前」

腹部に包帯を巻いた銀丈くんが
上半身裸でリビングからのぞいた。


立ってる!歩いてる!笑ってる!


それだけで涙が出る。

玄関の知らない人をすっかり忘れ
スニーカーを蹴っ飛ばして脱いで
駆け寄って抱き着いた。

銀丈くんだ…
本物だ。
肌も匂いも

匂い…

お肉のいい匂い…

ん?


「銀丈さん。牛タン焦げちゃいますよ!」

ん?

銀丈くんの隙間からリビングを覗くと
ガラの悪そうな男の人が3人

煙もくもく焼肉してる?!


えぇぇぇーーーー?!


思ってた感動の再会シーンと違ぁぁぁうっ!!
ラブラブな甘い再会と違ぁぁぁうっ!!

銀丈くんをみると
笑いをこらえて必死の顔だった。

「今すぐ、シたかった?」
いたずらな笑みを向けて顔を近づけた。

「あとでな」


もぉ・・・
そんな顔してないしっ。
あんな顔しないでよっ。

ドキドキしちゃうよ。