ネイルサロンの裏口から出るとすぐ
白いBMWが
キュキュッと鍵を開ける音を立てて
椿さんがハンドルを握るのを待っていた。
椿さんはサングラスをかけ
エンジンボタンを押す。
「運転⋯大丈夫ですか?…お腹」
免許もない足手まといな自分が
情けなくなる。
「もう、あとは赤ちゃんの気分だけだから大丈夫よ。
心配いらないわ」
椿さんは、優しく笑ってくれたけど
私に気を使ってのことだって
じゅーぶんすぎるほど感じた。
車が高速に乗ると
椿さんは
「虎丈さんに聞いただけだから」
と、前置きし
言葉を選びながら、丁寧に教えてくれた。
ジンくんが亡くなった日のことを。
話はそこから始まった。
ジンくんのチャラくて人懐っこい話し方。
銀丈くんと小学生みたいにふざけ合う姿。
モデルみたいな綺麗な顔と長い黒髪で
銀丈くんと並んでた夜。
背中一面を彩る鮮やかな龍。
私が知ってるジンくんは
ほんのちょびっとだけど
それでも
もう会えないと思うと
苦しくなる。
間近でジンくんの最期を見た銀丈くんは
どれ程の思いだったかなんて
計り知れない。
復讐…。
そんな言葉が頭をよぎったけど
「銀も虎丈さんも必死に耐えてたわ」
椿さんは静かに言った。
敵の多い仕事をこなしながら
報いを受けさせる相手を仕留めるまで
感情を押し殺し
淡々と前に進んだのだと。
そう話す椿さんも辛そうだった。
「ジンのために前を向いていたから
後ろが見えなかったのね。
銀の後ろには、いつもジンがいたから
気づくのが遅れたの。」
物理的なことだけを
言ってるんじゃないって感じた。
ジンくんは
銀丈くんにとって
大きな存在だったからこそ
失った穴も大きくて
その隙を突かれたのかも知れない。
「虎丈さんが見つけた時には意識がなくて…。」
街外れの廃屋で
自身の血溜まりの中で倒れていたそうよ
と言うと
椿さんは私を見た。
寒くないのに
歯がカタカタ震えた。
「せりちゃん。」
はっきりと強く名前を呼んで
運転しながら
私の腕を掴んだ。
「今夜が最後になってもおかしくない状態なの。」
え?
なんて言ったの?いま。
白いBMWが
キュキュッと鍵を開ける音を立てて
椿さんがハンドルを握るのを待っていた。
椿さんはサングラスをかけ
エンジンボタンを押す。
「運転⋯大丈夫ですか?…お腹」
免許もない足手まといな自分が
情けなくなる。
「もう、あとは赤ちゃんの気分だけだから大丈夫よ。
心配いらないわ」
椿さんは、優しく笑ってくれたけど
私に気を使ってのことだって
じゅーぶんすぎるほど感じた。
車が高速に乗ると
椿さんは
「虎丈さんに聞いただけだから」
と、前置きし
言葉を選びながら、丁寧に教えてくれた。
ジンくんが亡くなった日のことを。
話はそこから始まった。
ジンくんのチャラくて人懐っこい話し方。
銀丈くんと小学生みたいにふざけ合う姿。
モデルみたいな綺麗な顔と長い黒髪で
銀丈くんと並んでた夜。
背中一面を彩る鮮やかな龍。
私が知ってるジンくんは
ほんのちょびっとだけど
それでも
もう会えないと思うと
苦しくなる。
間近でジンくんの最期を見た銀丈くんは
どれ程の思いだったかなんて
計り知れない。
復讐…。
そんな言葉が頭をよぎったけど
「銀も虎丈さんも必死に耐えてたわ」
椿さんは静かに言った。
敵の多い仕事をこなしながら
報いを受けさせる相手を仕留めるまで
感情を押し殺し
淡々と前に進んだのだと。
そう話す椿さんも辛そうだった。
「ジンのために前を向いていたから
後ろが見えなかったのね。
銀の後ろには、いつもジンがいたから
気づくのが遅れたの。」
物理的なことだけを
言ってるんじゃないって感じた。
ジンくんは
銀丈くんにとって
大きな存在だったからこそ
失った穴も大きくて
その隙を突かれたのかも知れない。
「虎丈さんが見つけた時には意識がなくて…。」
街外れの廃屋で
自身の血溜まりの中で倒れていたそうよ
と言うと
椿さんは私を見た。
寒くないのに
歯がカタカタ震えた。
「せりちゃん。」
はっきりと強く名前を呼んで
運転しながら
私の腕を掴んだ。
「今夜が最後になってもおかしくない状態なの。」
え?
なんて言ったの?いま。
