恋の囚人番号251107都合いい女

夜中の電話に目を覚まし
愛しい人に名を呼ばれたのに


あ⋯なんか違う。


直感が言った。

いつもと変わらない声だけど
電話越しに伝わる"何か"に
器官が詰まる気がした。

直感は当たった。

全く嬉しくもない直感。


ジンくんが
亡くなった。


事故だった。
と、だけ言った銀丈くんの
言葉の後ろには
計り知れない事情と思いがある。

そんな気がしたから

言わないのなら
聞かない。
そう決めた。


「これから色々片付けて、色々忙しくなるから。
色々やんなきゃなんねーこともあるし。」

"色々"と繰り返す銀丈くんに
抱えたものの大きさを感じた。

うん…うん…と
相槌を打ちながら
淡々と話す銀丈くんの声を聞く。


「しばらく会えねーと思うし、連絡も⋯」

「私、待ってるから」


銀丈くんの話を遮って声を張った。

私の知らないとこへ行くんでしょ?
私が知らないことをするんでしょ?
私に知られたくないことをやるんでしょ?

だけど

どうかお願い


「帰って来てね」


永遠にも感じる一瞬の間のあと

電話越しに優しい笑みが伝わってきた。

「最速で帰るよ。」


電話が切れた。


銀丈くん

銀丈くん

銀丈くん

何度も名前を呼んで
ベッドの中で携帯を握りしめて泣いた。


どうか無事でいてね。