「椿さんを好きなままでいいから。」
「私のことも見て。」
ようやく銀丈くんの顔を見た。
怒ったような
苦しいような
悲しくて
優しい表情。
眉を寄せ
長くて黒いまつげを伏せて
大きな両手で私の頬をそっと挟んだ。
「見てるよ。そんな顔すんなよ」
小さくかすれた声で
おでこをコツンと合わせてきた。
「好きなんだもん。」
銀丈くんが誰を好きでも
私は私の想いを守りたい。
まっすぐ挑むように
銀丈くんを見つめると
「知ってる。」
銀丈くんは目を閉じ優しく笑うと
唇の傷口をそっと舌で包みキスをした。
花火の音も、周りの声も聞こえない。
月明かりに二人きり。
ジャグジーの音に紛れた
甘くて切ない#Fの声しか聞こえない。
心が
ほどけてゆく。
血の味がする優しいキスが、
吐息混じりの湿気を帯びたキスに変わる頃
銀丈くんは私を膝に乗せ背中に手を回した。
水温より熱い手が器用に水着の紐をほどく。
ジャグジーのライトに下から照らされ
銀丈くんの舌が首筋や胸を這うたび
腰を抱かれたまま仰け反った。
「ぁん…ぁ⋯んふぁっ」
水着のショーツに指が滑り込むと
「ぁぁっ⋯ぁんっ」
甘ったるい声に熱がこもる。
「こないだの続きしてやる」
生き物のように動く指先が
快楽の果てに導こうとしていた。
銀丈くんの濡れた髪に顔を埋め
抱きつく手に力を込める。
「んあっ⋯あぁ⋯あ。あ。あっ」
あと少し。
淫靡の頂に届きそうな時
銀丈くんは身体を離し
私の背中をジャグジーに押し付けて
髪に間に指を絡ませ顔を起こすと
「顔見せて。⋯ほら。イけよ。」
と興奮で顔を歪ませた。
その瞬間、淫らな顔を見られたまま
「いゃあっ⋯はぁっ⋯あぅっ」
私は、羞恥心よりも絶頂を選んだ。
息つく間もなく
私を後ろ向きで立たせる。
背後から抱きしめ
ジャグジーのヘリに手をつかせると
「いい顔すんじゃん。そそる。」
耳元で囁かれ
ズリ下がった水着の間から
一気に刺し貫かれた。
子宮から頭の天辺まで
稲妻が走り
初めての浮遊感に驚いた。
聞いたことのない
あられもない声が溢れる。
銀丈くんは身体を起こすと
私のおしりを掴んで揺すった。
銀丈くんの動きに連動して
私は鳴かされた。
「聞こえねぇ」
ジャグジーのスイッチを乱暴に叩き消すと
静まりかえる屋上に
揺れる水音と甘美の悲鳴だけが響く
ヘリをつかむ手に力が入る。
後ろから揺れる胸を潰すように抱きしめられ
細く長い指先をしゃぶらされる。
「せり」
耳元に息がかかり
大好きな声が私の名を呼んだ。
「名前呼ぶと締まんだな」
銀丈くんの息が荒くなり
2人とも言葉にならない声の間隔が速くなり
また私は絶頂に到達した。
好きな女(ヒト)じゃなくてもいい
身代わりでもいい
最後に私の名前を呼んでくれるなら
それだけでいいから
ソバニ イサセテ
