「しーずく!そろそろ帰ろ?」
帰りのホームルームが終わって、美空に声をかけら
れてから、一緒に階段を降りる。
けれど途中で雨が降ってることに気づいて、自転車
で帰るのは諦めて、歩いて帰ることにした。
でも、私は傘を持ってなかった。
美空は持ってたけど、家が反対側だから入れてもら
えない。
送ろうか?って聞いてくれたけど、流石に悪いから
って断った。
美空は先に帰っちゃって、私は学校の玄関で一人、
誰か傘に入れてくれそうな人を探していた。
そしたら、後ろから「あっ」て高い声が聞こえて、
後ろを向いた。
そこには、同じクラスになった佳穂が居て、
「傘忘れたのー?」
って話しかけてくれた。
「そーなの。ついてないよね。」
「うちの傘入りなよ」
「ありがと!ほんとに神」
私は佳穂の傘に入れてもらうことになった。
当たり前だけど初めて一緒に帰る。
すっと佳穂の手から傘を取る。
すると佳穂はちょっと微笑んでお礼を言う。控えめ
な笑顔だった。
私は誰かと二人で傘に入るとき、いつも私が傘を
持つ。
理由は 、私のほうが背が高いからだ。
相手に持ってもらうと、持つ位置が低くて私は傘に
ぶつかったりして歩きづらい。
それに気づいてからは、いつも率先して持つように
している。もちろん持つのは手が疲れるしめんど
くさい。
なにより、傘ってやっぱり二人入るには小さいから、
どっちかは肩が濡れてしまう。
そうなるとやっぱり傘を友達に寄せてあげないとい
けなくて、傘を持っている私が濡れないといけなく
なってくる。
だから私は雨の日いつも濡れている。それもだいた
い右の肩だ。
私は人の右側を歩くことが多いから、傘を持つのは
左手で、濡れるのは利き手側の右側だ。
制服のシャツが濡れて肌に張り付く。気持ち悪い。
湿気で蒸し蒸しして、微妙に熱くて、だから雨は
嫌い。
雨の匂いが嫌い。
車から跳ねる泥水も嫌い。
遠足の日の雨も嫌い。
隣の友達の聞こえにくい声も嫌い。
普段より色の濃いスカートも嫌い。
ただちょっとだけ好きなのは、全部流してくれそう
な強い雨の音。あと、帰りの道路の水たまりにうつる、
きれいな白い月だけだ。
大体の場合雨っていうのは本当に気分を暗くして
くる。
今だって、たかが傘を持たないといけないってだけ
で嫌になっている。
佳穂はきっと、私のこんなしょうもない悩みなんか、
気づいていないんだろうな。
明るくて純粋で、悪く言うと周りが見えてない佳穂
だから。
たぶん私の右腕が濡れていることにすら気づいてな
い可能性が高い。
帰りのホームルームが終わって、美空に声をかけら
れてから、一緒に階段を降りる。
けれど途中で雨が降ってることに気づいて、自転車
で帰るのは諦めて、歩いて帰ることにした。
でも、私は傘を持ってなかった。
美空は持ってたけど、家が反対側だから入れてもら
えない。
送ろうか?って聞いてくれたけど、流石に悪いから
って断った。
美空は先に帰っちゃって、私は学校の玄関で一人、
誰か傘に入れてくれそうな人を探していた。
そしたら、後ろから「あっ」て高い声が聞こえて、
後ろを向いた。
そこには、同じクラスになった佳穂が居て、
「傘忘れたのー?」
って話しかけてくれた。
「そーなの。ついてないよね。」
「うちの傘入りなよ」
「ありがと!ほんとに神」
私は佳穂の傘に入れてもらうことになった。
当たり前だけど初めて一緒に帰る。
すっと佳穂の手から傘を取る。
すると佳穂はちょっと微笑んでお礼を言う。控えめ
な笑顔だった。
私は誰かと二人で傘に入るとき、いつも私が傘を
持つ。
理由は 、私のほうが背が高いからだ。
相手に持ってもらうと、持つ位置が低くて私は傘に
ぶつかったりして歩きづらい。
それに気づいてからは、いつも率先して持つように
している。もちろん持つのは手が疲れるしめんど
くさい。
なにより、傘ってやっぱり二人入るには小さいから、
どっちかは肩が濡れてしまう。
そうなるとやっぱり傘を友達に寄せてあげないとい
けなくて、傘を持っている私が濡れないといけなく
なってくる。
だから私は雨の日いつも濡れている。それもだいた
い右の肩だ。
私は人の右側を歩くことが多いから、傘を持つのは
左手で、濡れるのは利き手側の右側だ。
制服のシャツが濡れて肌に張り付く。気持ち悪い。
湿気で蒸し蒸しして、微妙に熱くて、だから雨は
嫌い。
雨の匂いが嫌い。
車から跳ねる泥水も嫌い。
遠足の日の雨も嫌い。
隣の友達の聞こえにくい声も嫌い。
普段より色の濃いスカートも嫌い。
ただちょっとだけ好きなのは、全部流してくれそう
な強い雨の音。あと、帰りの道路の水たまりにうつる、
きれいな白い月だけだ。
大体の場合雨っていうのは本当に気分を暗くして
くる。
今だって、たかが傘を持たないといけないってだけ
で嫌になっている。
佳穂はきっと、私のこんなしょうもない悩みなんか、
気づいていないんだろうな。
明るくて純粋で、悪く言うと周りが見えてない佳穂
だから。
たぶん私の右腕が濡れていることにすら気づいてな
い可能性が高い。
