自分を好きになる話

「それとね」

「う、うん?」

「私はしずくちゃんの身長とか体型とかすごく良いと

思うよ。綺麗なしずくちゃんの顔によく似合ってる。

もししずくちゃんが、低身長だったら、それはそれで

可愛いと思うけど、きっと私は話しかけてないよ。」

「そうなの?」

「うん。今のしずくちゃんだから話しかけたんだよ。

もし、他にもしずくちゃんが大切にしてるものがある

なら、それは、今の、高身長で優しくて可愛いしず

くちゃんが作り上げたものなんだよ。だから、それと

同じくらい、自分を大切にしてあげて。

さっき皮肉って言ってたけど、可愛いって言われた分

女の子が可愛くなるのと同じように、かっこいいって

言われた分強くなれるよ。強さは自信に変わるの。」

「うん。」

少し、泣きそうだった。高身長の悩みが無くなったわ

けでは全然ない。でも、今までの自分が積み上げてき

た大事なものが、自分自身が、肯定されたような気持

ちになったから。

「ありがと。なんかちょっと楽になった気がする!高

身長の悩みがなくなった訳じゃないけど心が軽いよ!」

「そっか。よかった。、、、あのね、しずくちゃんが

しずくちゃんの理想の自分になることは絶対にできな

いんだよ。必ず何か理想との違いや、別の理想を見つ

けるから。きっとしずくちゃんが低身長になったとし

ても、悩みはまたほかに出来ると思う。でも、それで

いいの。理想の自分になってしまったら、もうそこか

ら二度と動けないから。

それに、理想を追い求めている時、女の子は1番輝け

るんだよ。

だから、悩まずに、自信を持って前を見て。

堂々としてる人が1番綺麗だからね。」

「っうん」

もう泣いていた。なんとなく、納得してしまったのだ。

特に何も理解は追いついていないけど、でも、よくわ

かった。私はきっと、大丈夫だって。

自信を持ってる人がいちばんきれいなら、私は強く

なって自信を持つ。

かっこいいって言われた分、強くなろう。

わたしが理想に追いつくことは無いけど、それでいい

んだ。その時の私が、きっと1番綺麗だから。

「ありがとう。美羽ちゃん。すごいね。もう悩みなん

か吹っ飛ぶくらい強くなれる気がするよ。」

「良かった。」

美羽ちゃんは穏やかな笑顔でそういった。