きれいな子を前にして、失態を晒してしまった。

くそぅ。

 ……ところで、このきれいな子はなんでここにいる

んだろう。

 「外。雨、大丈夫なのかなって。」

 心読まれた?てか、

 「え、あ、だいじょ…ぶじゃない!!」

 よく窓の外を見ると、白い粒が一斉に強く地面に

打ち付けている。

 目の前の美少女はじっと私を見ていた。

 「雨、か、傘…えっと、……傘がない。あ、傘、ニ

本持ってないよね?」

 喋りすぎだ。噛みすぎ、意味不ときて、喋りすぎ。

だめな女の三重苦だよ…

 美少女は表情を崩さず、

 「持ってない。」

 と告げた。

 私はこの自然のシャワーを浴びて帰ることを決意

した。しかし、

「でも、家まで傘で送っていってあげる事はでき

るよ。」

 と言って、美少女は立ち上がってカバンを持ち、

椅子を丁寧にしまった。

 彼女は“行こう”というふうに私を見た。

 私はこの状況を理解できないなかったけど、とにか

く立ち上がって、彼女と同じように丁寧に椅子をし

まっておいた。

 彼女はまた読めない顔でそれを見ていたけど、すぐ

に渡しに背を向けて教室のドアへ向かって歩き出した。

 真っ直ぐドアまで歩く彼女を見て、やっと違和感に

気づいた。

 「雨なのに私が寝てたから待っててくれたの?」

 実際には寝てはいなかったが、ややこしいのでもう

寝ていたことにした。

 「まあ、まだそんなに時間も経ってないしね。」

 「わざわざ話したこともないようなクラスメイトの

ために?」

 びっくりして変なこと聞いちゃった。これじゃあ、

私なら待たない、私は性格が悪い、って言っているよ

うなもんだ。まあ実際またないだろうけど。だって他

人だよ?話したこともない、昨日であったばかりの人

のために待てる?

 もう帰りのショートホームルームがおわって35分

経っている。

 つまりこの子は私のために放課後35分も一人で

ブスの寝顔を見てたってことだ。もう天使だよ。 

 しかも家まで送ってくれるって言うし。

 「い、いいこすぎるよぉー。ありがとぉぉ!感謝

しかないよ〜」

 「い、いや、そんないうほどのことじゃないし…

ね?」

 「いやいやわざわざ送ってくれるなんてぇぇ!この

世界にこんな清らかな少女がいたとは。」

 やばいもうこのキャラでしか通せないぐらい個性的

になっちゃってる!ええい仕方ない!このキャラで

貫き通してやる!

 私は前髪命なので送ってもらうことにして、まっす

ぐな細い背中について行った。