〜続〜空よりも海よりもキミのことを知りたかった。

「あれ?もしかして碧萌ちゃん?!」


なんて一人で怪しい妄想に耽っていたら聞き覚えのある声がした。

脳裏に猿っぽい顔が浮かぶ。

ということはもしや…!

慌てて振り返ると

そこにいたのは

あの頃と何ら変化のない猿くんと

初お目見えの美少女だった。


「いやぁ、久しぶり!元気だった?」

「元気だけが取り柄なので毎日元気です!」


ちなみに今は取り繕いの空元気だけど。

樹くんにそんな繊細な乙女心が分かるわけもなくニタニタと笑みを浮かべて話を続ける。


「そりゃあ何よりだ。あ、そういや青空とは初対面だったよな?こちらおれの幼馴染の上川青空」


青空さんがぺこりと頭を下げる。

これがあの頃噂していた幼馴染か…。

この美貌を前にして私は完全に敗北せざるを得ない。

あれ?

でも、

でもでも、

いない、よね?

私は辺りをキョロキョロ見回した。

しかし、どこにもその姿は見当たらない。


「もしかして颯翔捜してる?」

「あっ、はい。少しの間でしたが仲良くさせていただいたので挨拶したかったなぁと…」


私がそう言うと、青空さんはクスクスと肩を小刻みに動かした。

私なんか面白いこと言った?


「ほんと仲良くしてくれてたよね。わたしのお見舞いに来ると樹も颯翔もあなたの話ばかりするんだもん。なんとなくどんな子なのか想像ついてたし、だからわたしも…」


最後の方は周りの騒音に掻き消されて聞こえなかった。

けど青空さんの顔は妙に晴れやかで綺麗で思わず見惚れてしまった。


「一応颯翔には今日来るよう言ってあるんだ。おれたちも最後まで待つつもり」

「きっと来ると思う。だから待っててあげて。颯翔不器用だから分かりにくいけど、瀬生さんのこと大事に思ってたのは本当だから」


うんうんと樹くんが大きく首を縦に振る。

なら信じてみようかな。

最後まで

奇跡を。


「二人共ありがとう。そっちも楽しんで!」

「へーい!またなー、碧萌ちゃん!」


私は肩が外れそうになるくらいぶんぶんと手を振りながら二人から遠ざかっていった。