「あの…絶対に今聞くことじゃないんですけど…」


彼が口を開く。


「俺たち、どこかで会ったこと…ありますか?」


「…え?」


「いや、あなたが泣き出した時『泣き虫だな』って言いかけたんです。おかしいですよね、会ったこともない人にそう言うなんて…」


『泣き虫だな』


あぁ、本当に会いに来てくれたんだ…


彼の来世は


「あなたなんですね…」


目の前にいる彼はきょとんとしている。


「やっぱり、どこかで会ったことあるんですか?すみません、覚えてなくて…」


「いいんです…」


目の前にいるこの現代の勇気さんと、過去の勇さんとの記憶が、そっと重なり合う。
 

その瞬間、一緒に過ごした日々が確かに現実のものだったことを、心から感じた。