飛行場へ続く道は賑やかで、皆、手に日の丸を持っている。
　

制服の裾が風に揺れ、砂の上に残る自分の足跡が、儚く消えていく。
　

胸の奥がぎゅっと締めつけられ、涙が自然とあふれそうになる。
　

だが、振り返ることはできなかった。
　

振り返れば、すべてが壊れそうで、前に進むしかなかった。




　
遠くに、出発の準備をする仲間たちの姿が見える。
　

飛行機のエンジン音が低く響き、朝の空気に混ざって胸を震わせる。
　

深く息を吸い、あの手紙のことを思い浮かべた。
　

きっと、あの言葉が、美緒を守るために、そして自分を支えるためにある。

　
砂浜の風景と波音を胸に刻み、力強く歩き続けた。
　

もう、戻れない朝が、目の前に広がっていた。