やがて、彼はゆっくりと息を吐き、ぽつりと言った。
 

「…美緒がこの時代の人間じゃないことは…なんとなく分かってた」

 
目を瞬き、勇さんの横顔を見つめた。
 

けれど彼は視線を海に落とし、落ち着いた声で続ける。
 

「ずっと思ってた。言葉も、仕草も、考え方も……他のみんなとは違う。でも、不思議と嫌じゃなくて。むしろ、眩しく見えた」

 
私は返す言葉を失い、唇を噛んだ。
 

彼は小さく微笑み、今度は正面から美緒を見た。
 

「未来の日本は…どうなってるんだ?」
 

「……」
 

「戦争は、なくなってるか?みんな、幸せに暮らしてるか?」