「どうして…どうして勇さんが…命まで捧げなくちゃいけないの…」
 

喉の奥が焼けるように熱く、吐き出した言葉は波音にかき消された。

 
未来から来た自分だからこそ分かる。
 

特攻がどれほど絶望的な作戦かを。
 

誰ひとり生きて帰れないことを。
 

だからこそ、私の心は壊れそうだった。

 
波が寄せては返す浜辺に、私の泣き声だけが響いていた。