夜の浜辺は、昼間の惨劇が嘘のように静かだった。
 

寄せては返す波の音だけが響き、空には無数の星が瞬いている。
 

昼間の空襲の煙はもう風に流され、代わりに夏の夜特有の湿った空気が海を包んでいた。

 
裸足で砂浜に座り込み、膝を抱えて空を見上げていた。


あんな光景、二度と見たくない。
 

胸に刻まれた恐怖と悲しみが消えずに渦を巻き、涙が滲む。