日中の救護所は慌ただしい。


看護師や衛生兵の指示に従い、タオルを運び、水を替え、血のついた包帯を片付ける。


「美緒ちゃん、ありがとう。助かるわ」


看護師が笑顔で声をかけてくれる。


「いえ…できることしかしてませんから」


「それでいいのよ」



外から兵士の笑い声が聞こえてくる。


だがその合間に、遠くで低く唸るような音が響いた。


空を飛ぶ飛行機の音だ。


思わず手を止め、天井を見上げる。


「大丈夫、今のは味方よ」


隣の看護師が小声で言う。


けれど「味方」という言葉に込められた微かな不安は、私にも伝わった。