しばらく遊んでから、皆で砂浜にごろりと寝転び、空を仰いだ。


「はぁ…なんか久しぶりに、こんなふうに遊んだ気がします」


彼は横に寝転び、星空ではなく青空を見上げて笑った。


「たまにはいいだろ。…美緒は、笑った顔のほうがいい」


私の頬が熱を持つのを感じた。


「…からかわないでください」


勇は声をあげて笑い、その音が海風に溶けていった。






夜になると、消灯の後に少しだけ時間ができる。


いつものように浜辺に出て星を眺めていた。


「また来てたのか」


背後から勇さんの声がして、振り返る。


「勇さんこそ」


ふたりは並んで腰を下ろした。


昼間の賑やかな笑い声が遠い夢のように思える。


何かを話すわけでもない。


けれど、今はただ波と星だけが、私たちを包んでいた。