軍人たちの傷の手当てや、薬の管理を終えた午後。


外で洗濯物を干していると、白い布が風に揺れ、その向こうには勇さんがいた。


「この後、空いてるか?」


訓練終わりの勇さんが顔を出した。


「あー、これ終わってキクさんから許可が出たら行けます!」


「そうか、じゃあキクさんに聞いてくるね」


そういうと勇さんは「キクさーん」と呼びながら、救護所に入って行った。







夏の日差しがじりじりと照りつける中、2人で浜辺に向かった。


「本当に泳ぐんですか…?」


目を丸くして尋ねると、勇さんはにやりと笑う。


「せっかくだからな。海に来て泳がないのは損だろ?」


そう言って勇さんがシャツを脱ぎ、海に飛び込むと、大きな水しぶきが上がった。


「ちょっ…勇さん!急に!」


海の水しぶきがかかる。


「ははっ!美緒も来いよ!」


笑顔で手を差し伸べられ、私はため息をつきつつ、足先を水に入れてみる。


「つめたっ!」


「最初だけだって!」


二人は波の中で笑い合い、水を掛け合いながら、まるで子どものようにはしゃいだ。