次に気がつくと、白い天井の下に横たわっていた。


木の枠の窓からは、海のきらめきが見える。


部屋に入ってきたのは、白衣を着た看護師。


「気がついたのね。ここは軍の救護所よ。あなた、海で倒れていたのを兵隊さんに運ばれたの」


そう言って彼女は、柔らかく笑った。


けれど『軍』という言葉が、私の心を大きく揺さぶる。


軍? 救護所?


まるで時代劇や歴史の本の中の言葉みたいで、現実味がなかった。