仕事が終わってスマホを開くと、専務から大量のメッセージが届いていた。会社で見る専務は、憧れていた時の専務の姿と変わらずカッコいいのに、メッセージはどれも甘々な文章ばかり。
私は勇気を出して、専務と同じテンションの文章を作って返信した。恥ずかしいけど、付き合ったばかりの彼氏に送るメッセージだと思えば許容範囲だ。すると、専務から電話がかかってきた。
「専務、どうしたんですか?」
突然電話がかかってきたから、なにかあったのかと心配したけれど、その必要はなかった。ひたすら愛の言葉を囁かれて何も言えずにいると、電話の向こうから中川さんの怖い声が聞こえてきて、ようやく切れた。ほっぺを触ったら、熱があるようなほど熱かった。
そんなことが続いたある日。
「専務ってうちの部署に狙ってる子でもいるのかな。最近、毎日来てない?」
私は上司の篠原さんの言葉で凍りついた。
「自分の目で社員を見ろって言われて、他の部署もまわってるらしいですよ。しかも、指示出したの中川さんって噂です。」
「中川さんって専務に指示出すの!?」
「噂ですけどね〜」
私は篠原さんと奈々美の声を聞きながら、体を小さくして必死にパソコンを打っているふりをした。
奈々美が言った通り、専務は社内を巡回しているだけかもしれない。でもあの大量のメッセージを読むと、会いに来てくれているのではないかと勘違いしてしまう。
(ちょっとくらい勘違いしてもいいよね。恋人……なんだから。)
私はいつしか「恋人のふり」であることを忘れ、専務が会いに来てくれることを密かに楽しみにしていた。
ところが、専務は突然姿を見せなくなった。毎日見ていただけに、急に会えなくなると途端に寂しさを感じた。大量に来ていたメッセージも徐々に少なくなって、電話はぱったりと止んだ。私は徐々に不安になってきた。
「忙しいだけだよね……」
専務のことは信じているけれど、不安は大きくなるばかり。だからと言って、誰に相談できるものでもない。私は自分の仕事が忙しくなったことを良いことに、仕事に没頭することで不安を打ち消そうとした。
私は勇気を出して、専務と同じテンションの文章を作って返信した。恥ずかしいけど、付き合ったばかりの彼氏に送るメッセージだと思えば許容範囲だ。すると、専務から電話がかかってきた。
「専務、どうしたんですか?」
突然電話がかかってきたから、なにかあったのかと心配したけれど、その必要はなかった。ひたすら愛の言葉を囁かれて何も言えずにいると、電話の向こうから中川さんの怖い声が聞こえてきて、ようやく切れた。ほっぺを触ったら、熱があるようなほど熱かった。
そんなことが続いたある日。
「専務ってうちの部署に狙ってる子でもいるのかな。最近、毎日来てない?」
私は上司の篠原さんの言葉で凍りついた。
「自分の目で社員を見ろって言われて、他の部署もまわってるらしいですよ。しかも、指示出したの中川さんって噂です。」
「中川さんって専務に指示出すの!?」
「噂ですけどね〜」
私は篠原さんと奈々美の声を聞きながら、体を小さくして必死にパソコンを打っているふりをした。
奈々美が言った通り、専務は社内を巡回しているだけかもしれない。でもあの大量のメッセージを読むと、会いに来てくれているのではないかと勘違いしてしまう。
(ちょっとくらい勘違いしてもいいよね。恋人……なんだから。)
私はいつしか「恋人のふり」であることを忘れ、専務が会いに来てくれることを密かに楽しみにしていた。
ところが、専務は突然姿を見せなくなった。毎日見ていただけに、急に会えなくなると途端に寂しさを感じた。大量に来ていたメッセージも徐々に少なくなって、電話はぱったりと止んだ。私は徐々に不安になってきた。
「忙しいだけだよね……」
専務のことは信じているけれど、不安は大きくなるばかり。だからと言って、誰に相談できるものでもない。私は自分の仕事が忙しくなったことを良いことに、仕事に没頭することで不安を打ち消そうとした。



