「何言ってるんだ。俺は教師だぞ。」

精一杯、冷静を装って返す。

「知ってる。」

短く言い切るその声は、妙に甘く耳に残った。

気づけば神奈は一歩踏み込み、俺の腰に腕を回していた。

制服越しに伝わる体温と、髪から香るシャンプーの匂い。胸の鼓動がやけにうるさい。

こんな可愛い子にしがみつかれて、平常心でいられる男がどれだけいるだろう。

「ねえ、先生。いいでしょう? 遊びだと思って。」

耳元で囁く吐息に、背筋がゾクリとする。

遊びって……そんなこと、生徒相手にできるわけないだろう!

俺は慌てて神奈の肩をつかみ、ぐっと距離を取った。

「そういうのは、彼氏に言え。」

少し強めに言ったつもりだった。

だが、神奈は視線を外さず、ぽつりと呟く。

「……彼氏いないもん。」

その一言が、逆に俺の理性を揺さぶる。

胸の奥のドキドキが、ますます大きくなっていくのが自分でもわかった。